私の好きな作家のひとり 千早 茜の一作です。
他にも、男ともだち も良い作品です。今回紹介する本は短編集です。
- 春の狐憑き
- 白い破片
- 初花
- エリクシール
- 花荒れ
- 背中
- 樺の秘色です。
どれも、言いたくても中々言えない、ましてや言葉で表現するのは難しい人間関係や微妙な空気感、その時の心情をキレイに表現されていて読んでいて何もストレスなく美しさに感嘆してしまいます。この作者のように文字で表現できるようになりたいなぁといつも思っています。感情って都度、沸き起こってくるので時間とともに風化し いざ書いてみようと試みる段階になるとイマイチうまく表現できなくなるんですよね。熱量というか印象もでしょうか、薄まっちゃって。この方の作品はノートPCを持ち歩いて、瞬間瞬間に記述しているのでは?と思ってしまうほど文章にイチイチ響かされます。
エリクシール
その中でも一番オススメがエリクシールです。
年の離れた妻を死別で失った男性と結婚した30代女性の話です。私も今まではそうだったので何ともいえませんが、男って余り妻を見ようとしませんよね。実際、気づくことができて本当に大事に奥様を想っている方もいますので、あくまでも一例ですが。何か所有物になったら急に興味を失って、それまでの過程でのエネルギーで完全燃焼してもう線香花火ほども熱量が残ってない感じになることがあります。ペース配分が違うというかゴール設定が違うんですよね。本来は人生の終わり80歳くらいまでを見据え一緒にどう歩いて有意義なモノに楽しく過ごしていくか、を考えなければいけないのに。結婚がゴールになっている私も含め男性が多いので、女性側とすれ違いが置き離縁に繋がっていくのだと思います。
好きな一節を紹介します。
「桜図と楓図、直哉はどっちが好きだった?」
「え?どっちも凄かったけど」
「うん、そうだけど。でも、どっちが心に残った?」
中略
「でもさ、違う絵だからな」
「違う絵だろう?どっちかとかとかじゃなくて」
ここのシーンに全て凝縮されているように感じます。何というか、この個人が尊重され、その分 個人の責任に帰結してしまう今の社会構成の中で他人に干渉することも大きなリスク リスクヘッジする最善な方法が過干渉しないのが頭良いというか要領が良い 社会を上手く渡る処世術みたいな感じになっている現状でここまで、身体の関係のない異性に確りと理解してもらい、自分自身を見つめてくれる事ってこの上ない幸せじゃないでしょうか?もっと文章力があればうまく伝わるのですが、BOOKOFFで安く売ってるので是非読んでみてほしいと思います。すみません、表現下手で。
まとめ
千早 茜は1979年の江別市生まれなんでほぼ同じ時間と空間を共有していたんだと思うと、輪をかけて共感できてしまって、私も年代も地理的にもほぼ一緒なんで。あの時のあの辺の地域は、今考えると本当に幸福でした。でも、それに胡坐を掻いていたのでいたため今日があるんですよね。もっと謙虚に周りの方と協調していれば良かったと後悔しています。兄弟とも親とも友人とも・・・。今からでも遅くないので今後は今の妻と子供を大事に歩いていきたいと、この方の作品を読むといつも清々しい気持ちになりデトックス効果!?があり心が洗われます。顕れる?かな本来は。
次回は、ちょっと違うジャンルの本です。では